和歌山県警察雑踏警備実施要領の制定について(例規)

(制定:平成16年8月2日 地指第118号)
和歌山県警察本部長から各所属長あて
和歌山県警備実施要則(昭和39年和歌山県公安委員会規程第3号)及び和歌山県警察警備実施規程(昭和39年和歌山県警察本部訓令第35号。以下「規程」という。)に基づき、和歌山県警察雑踏警備実施要領を別記のとおり定め、平成16年8月2日から実施することとしたので、適切な運用に努められたい。
なお、「雑踏警備実施活動の運用について(例規)」(昭和41年11月24日付け外第1529号)及び「雑踏警備実施結果報告方について(例規)」(昭和36年2月8日付けら第137号)は、廃止する。

別記

和歌山県警察雑踏警備実施要領

第1 目的
この要領は、祭礼、花火大会、興行、その他の行事等(以下「行事等」という。)の雑踏警備の実施に関して留意すべき基本的な事項を定め、もって雑踏警備の適切な運用を図ることを目的とする。
第2 雑踏警備の意義
行事等(治安警備として措置するものを除く。)の開催に伴い、特定の場所に不特定多数の人が一時的に集まることにより、事故若しくは混乱等が発生し、又は発生するおそれがある場合において、主として、部隊活動により事故又は紛争等を防止するために行う混雑緩和、犯罪の予防、交通規制等の諸活動をいう。
第3 雑踏警備に対する基本的な考え方
行事等の開催に伴う事故防止は、雑踏を生じさせる原因者である主催者が、自主警備等雑踏事故の防止対策を講じるべきものであり、雑踏の影響が及ぶと認められる範囲については、会場内だけでなく会場外においても、また、そこが公道であるか否かを問わず、必要な事故防止対策を講じ、雑踏事故の未然防止を図るべきものである。
警察は、警察法第2条に定められた責務を果たすため、主催者に対して必要な指導を行い、警察部隊の投入が必要と判断される場合にあっては、事前には綿密な実地踏査等の準備の上、雑踏警備計画を作成するとともに、当日は主催者等と連携して事故防止対策を講じることにより、雑踏事故の未然防止を図るものとする。
第4 雑踏形態の特徴の把握
雑踏形態については、雑踏の種別によって群衆心理及び予想される雑踏の形態も異なることから、雑踏警備を行うに当たっては、雑踏形態の特徴を十分理解した上で取り組むこと。
第5 雑踏事故防止に関する体制の確立
1 雑踏警備実施指導官の指定
生活安全部地域指導課長(以下「地域指導課長」という。)は、地域指導課の警視以上の階級にある警察官を雑踏警備実施指導官に指定し、次の任務を行わせるものとする。
(1) 雑踏事故防止に関する平素の措置
ア 過去の雑踏警備実施における問題点等の分析
イ 前記分析結果を踏まえた警察署に対する指導
ウ 警備業主管課との連携
エ 雑踏警備実施主任者及び雑踏警備に従事する警察官に対する指導・教養
(2) 次に掲げる雑踏警備実施に関する警察署への指導(実施計画、部隊員の配置運用、主催者への事前指導等に関する指導)
ア 3万人以上の人出が予想される行事等
イ 異状な群衆心理から混乱、無秩序状態の発生が予想される行事等
ウ 2以上の警察署にまたがる雑踏警備又は機動隊の応援を要する行事等、警察本部で把握し調整、指導等を行うべき行事等
2 雑踏警備実施主任者の指定
警察署長(以下「署長」という。)は、地域課長又は地域課長代理を雑踏警備実施主任者(以下「実施主任者」という。)に指定し、次の任務を行わせるものとする。
(1) 雑踏事故防止に関する平素の措置
ア 過去の雑踏警備実施における問題点等の分析
イ 行事等が行われることが予想される施設の管理者等との連携(平素の指導、開催予定行事等に関する指導)
ウ 自治体等関係機関との連携
(2) 実施計画の企画・立案
(3) 実地踏査の実施
(4) 主催者に対する事前指導
(5) 雑踏警備に従事する警察官に対する指導・教養
第6 事前の措置
1 行事内容等の早期把握と検討
実施主任者は、管内において雑踏が予想される行事等の早期把握に努めるとともに、これを認知した場合は、主催者、管理者及び関係者等を事前に招致し、次の事項について聴取し、警備措置を検討すること。
(1) 行事等の内容(天候等による中止又は延期等の有無を含む。)
(2) 主催者、管理者及び関係者
(3) 連絡責任者、現場責任者
(4) 会場の構造及び収容能力
(5) 参集者の質・層及び最盛時の人出予想人数
(6) 最寄りの交通機関及び利用道路
(7) 参集者の輸送計画の有無
(8) 駐車場収容可能台数及び駐車予想台数
(9) 自主警備体制
(10) その他過去の状況等警備上必要な事項
2 主催者等に対する事前指導、助言及び連携の確保
実施主任者は、主催者に対し、次の事項について、その理解が得られるよう必要な指導に努めること。
(1) 主催者側の責任体制の確立
ア 責任感の醸成
行事等の開催に伴う雑踏事故の防止については、第一次的には主催者の責任においてなされるもので、事前に主催者にその旨を指導し、自覚させること。
イ 責任者の選定
責任者には、実質的な権限、知識、経験及び能力の有する者を選任させるとともに、責任体制を明確にした運営組織図を提出させるなど主催者側の責任体制を確立させておくこと。
(2) 自主警備体制の確立
ア 自主警備員
行事等の規模、性格に応じた十分な警備体制を確立させるとともに、自主警備員についても事故防止に必要な知識、経験及び能力を有する人材を充て、事前に任務等を具体的に付与させておくこと。
イ 資機材の活用
整理、誘導を円滑に行わせるため、拡声器、ロープ、防護柵等の資機材を十分活用させること。
ウ 危険箇所の警備
階段、歩道橋、橋梁、会場出入口等危険が予想される箇所については、事故防止のための環境整備を行わせるとともに、所要の自主警備員を配置させること。
(3) 警察との連絡体制の確立
主催者側に連絡窓口となる連絡責任者(代理者を含む。)を指定させ、警察との連絡体制を確立させること。
なお、会場が複数にわたる場合は、会場ごとに連絡体制表を提出させること。
(4) 施設・環境の整備
ア 会場及び周辺
会場及びその周辺においては、次のような措置を講じさせること。
(ア) 危険箇所への立入禁止及び転落防止措置
(イ) 放置バイク、自転車等障害物の撤去
(ウ) 進入路等の幅員の確保
(エ) 入退場者の一方通行又は相互通行における明確な中央線設定による分離
(オ) 適正な収容人員の厳守
(カ) 夜間にあっては十分な照明の確保
(キ) 行事に伴う仮設施設(舞台、観客席、桟敷等)の安全管理
(ク) その他行事等の内容に応じた適切な安全整備
イ 露店対策
露店等は、人の流れの変化又は滞留を生じさせたりすることから、出店させる場合は、通行等の支障にならない場所とすること。
(5) 主催者等との事前検討会の開催
主催者等関係者との検討会を必要の都度開催し、細部にわたる検討を行うなど、問題点等が是正されないまま当日を迎えることのないようにすること。
ア 検討会は、内容等に応じ、全体会議、担当部門別会議(整理誘導、交通規制、安全施設等)等とし、きめ細かい実質的なものとすること。
イ 検討会においては、主催者側から行事等の内容、観客の動線、自主警備員の数、配置箇所、任務等が盛り込まれた自主警備計画を説明させた上で、警備上の問題点を抽出し、必要な指導、申入れ等を行うこと。
3 実地踏査
署長は、自ら又は実施主任者及び署長の指名する幹部により、次の事項を中心に綿密な調査を行い、事件・事故等の原因となる事象の発見及び危険の除去に努めること。
雑踏警備は、年ごとに条件や事情に変化が生じていることを前提として、恒例的な行事等であっても、必ず実地踏査を行うこと。
(1) 現場及び付近の地形・地物、交通機関、交通量、道路の幅員及び照明の状況
(2) 建物又は施設の構造及び周辺の状況、特に収容能力、非常口、待避路及び避難場所
(3) 部隊の担当区域及び部隊員の配置箇所の選定
(4) 通信、照明、拡声器等の装備資機材の配置箇所の選定
(5) 駐車場及び交通規制区域と迂回路の選定
(6) 現場の状況が最も容易に把握できる警備本部の設置場所及び救護所、部隊の待機場所の位置の選定
(7) 降雨等気象条件が群衆に与える影響と予想される事案の検討
(8) 自主警備員の配置場所
4 突発事案等発生時の危険防止の措置
(1) 行事等の中止に関する事前協議
天変地異、事故等で当該行事の開催又は続行ができない状態となった場合の中止の措置について、事前に主催者と協議しておくこと。
(2) 不審物件等発見時における連絡方法等の協議
不審物件の発見、爆破予告等があった場合、迅速、的確かつ混乱を生じることなく対応していくための措置要領を協議しておくこと。
(3) 避難誘導等の措置
事故等の発生時における避難経路、避難先及び要領について協議しておくこと。
5 警備対策会議
警察としての警備を万全なものとするため、当該雑踏警備に関係する各級幹部による会議を開催し、警備方針、警備体制、警備措置等を確認するなど、連携を図っておくこと。
6 交通機関等関係機関への協力要請等
雑踏警備の万全を期するためには、主催者と警察だけでなく、交通機関との連携が不可欠である。このため、主催者と連携して交通機関等関係機関に対する事故防止のための事前措置、緊急時の措置等について協力を要請しておくこと。
第7 警備計画の策定
1 警備情勢の判断と基本方針の樹立
警備計画の策定に当たっては、
ア 行事等の実態
イ 予想される事案
ウ 主催者及び関係機関の行う事故防止措置の実態
エ 会場及びその周辺の施設、環境的条件
オ 群衆の質及び量
カ 周辺の交通事情
キ 宣伝、人気等の状況
ク 開催日及び時間等
等を踏まえ、警備情勢を判断した上で基本方針を樹立するとともに、最悪の事態を想定した警備計画を策定すること。
2 警備計画策定の基本
警備計画は、警備情勢で得られた事実、実地踏査結果、過去の教訓等を踏まえ、あらゆる状況の変化に対応できる総合的、具体的かつ弾力的なものを策定するものとし、特に次の点に配意すること。
(1) 群衆の安全保護を目的とし、人身事故の未然防止を最重点とする。
(2) 従来の計画を安易に踏襲することなく、新たな観点から検討し、行事等の内容及び実態に適応したものとする。
(3) 部隊の配置は、危険又は混乱が予想される箇所を重点とし、各部隊(員)の担当区域、任務を明確にする。
(4) 警備本部と部隊相互間の指揮命令系統を明確にする。
(5) 警備本部設置は、部隊指揮、通信、交通等の諸条件を検討し、適切な場所を選定する。
(6) 予想される突発事案に対し、措置要領を講じておくとともに、予備部隊を確保しておく。
(7) 装備資機材を積極的に活用する。
3 警備計画の策定要領
警備計画は、次の事項を基本に策定する。
(1) 行事等の概要
行事概要、日時、場所、区域、順路、主催者・現場責任者、予想人出数等を明記する。
(2) 情勢判断
行事等の実態、主催者の行う事故防止措置の実態、会場及びその周辺の施設、環境条件、群衆の質及び量、周辺の交通事情、宣伝、人気等の状況、開催時間等から予想される雑踏事故を明記する。
(3) 警備方針
雑踏事故防止の観点から、行事及び予想される事案等の態様に応じた警備の手段、方法並びに群衆の対応要領等を重点としたものとする。
(4) 警備体制
ア 警備本部等の設置
行事等の規模・性格等により、警備本部、直轄部隊及び警備部隊を編成し、任務分担を明確にする。
なお、警備が長時間に及ぶ場合は補給班等を加える。
イ 指揮・命令系統の確立
報告、連絡、指揮、命令が迅速かつ確実に伝わるよう指揮体系を明確にする
(5) 現場到着及び配備完了時刻等
現場での準備や主催者側の自主警備計画の確認に要する時間を考慮した上で、警備対象に応じた時刻を指定する。
また、終了時刻については、群衆の解散状況等現場の情勢を見た上で、主催者と連携しつつ警備責任者において判断する。
(6) 警備措置の検討
行事概要、実地踏査結果、群衆の質等を把握した上で、次の事項についてとるべき措置を検討しておく。
(ア) 会場内外及び安全施設の点検
(イ) 装備資機材の点検、活用
(ウ) 交通規制及び立入禁止区域の設定
(エ) 緊急避難路の確保
(オ) 露店対(カ) 自主警備員との任務等の確認及び連携
(キ) 群衆の整理・誘導
(ク) 突発事案発生時の措置
(ケ) 予備隊の運用
(コ) 救急隊との連携
(7) 服装・装備
ア 服装
任務に応じた服装とする。
イ 装備資機材
行事概要、時間帯に応じた必要資機材を準備する。
(ア) ハンドマイク、ロープ、カラーコーン、懐中電灯等の必要資機材
(イ) 広報車、指揮官車、照明車等の必要車両
(ウ) 仮設電話、無線機等の通信機材
(8) 警備通信
有線及び無線通信の機能が最大限に活用され、警備本部、警備部隊間の相互連携が効率的に行われるよう、効果的な通信運用計画を作成すること。
第8 現場活動
1 警備本部の設置と運用
(1) 必要により警察本部、警察署及び現地に警備本部を設置し、警備本部において、組織的に情報を集約し、一元的な運用を図ること。
(2) 現地警備本部の設置に当たっては、主催者側の本部と併設するなど、相互の連携に齟齬を来さないよう配意すること。
2 警備部隊の運用
各級指揮官は、警備部隊の運用にあっては、部隊を完全に掌握し、明確な指揮をとるとともに、隊員は積極的にその指揮下に入り、迅速な行動を行うこと。
また、警備部隊を配置するときは、警備要点に主力を集中できるよう配置すること。
3 現場広報
雑踏警備現場における広報活動は、群衆の誘導等警備活動の円滑化及び事故防止を図る上で非常に有効な活動である。したがって、会場及び周辺における広報活動は、主催者と協力して適宜適切な広報の実施に努めるとともに、広報用資機材を最大限に活用して事故防止上の注意を促すこと。
4 危険等の予兆現象の把握と速報
(1) 常に雑踏状況を視野に入れ、特異動向や予兆現象の把握に努めるとともに、これを認知した場合は、警備本部等に速報すること。
(2) 警備本部等においては、的確な部隊運用、広報、交通規制等の措置を直ちに講じ、事故等への発展を未然に防止すること。
第9 事故発生時の措置要領
1 事故概要の把握と速報
事故を認知した場合は、直ちに、発生時間、場所、負傷者の有無等事故の概要と、応援の必要性を速報し、以後、逐次、負傷者数、負傷程度等具体的状況を報告すること。
2 負傷者の救出・救護と避難等の措置
部隊員を群衆整理版と負傷者等の救護班に分け、負傷者の救護と併せて危険地域にいる群衆の避難誘導を行い、事故の拡大防止を図るとともに、群衆及び車両の整理を行い、救助活動の円滑を図ること。
3 事態の収拾措置
(1) 群衆の分散
警戒線を設けて、群衆の避難場所への誘導、分断措置、来場者に対する来場制限、迂回、誘導等を行うこと。
(2) 広報活動の徹底
速やかに事故の概要等を広報し、群衆の不安感や動揺の払拭と混乱の沈静化を図ること。
(3) 行事等の中断(中止)措置
事故の規模等に応じ主催者に対し、行事等の中断、中止について指導を行うこと。
4 被害実態等の把握
(1) 被害調査班の病院等への派遣
負傷者及び負傷程度の早期把握を図るとともに、家族等への連絡を行うこと。
(2) 事件化に向けた措置対策
将来における業務上過失致死傷事件としての対応を念頭に置いて、現場保存等を確実に行うとともに、主催者側責任者、参考人等関係者を確保すること。
(3) 報道対策
警察本部関係課との連携による報道対策を実施すること。
第10 雑踏警備実施後の措置
1 実施結果の把握と警備計画の検討、見直し
雑踏警備終了後、当該雑踏警備に従事した警察各級幹部による検討を行い、事後の警備計画に反映させること。
2 主催者等との事後検討
(1) 主催者等との反省検討会を早急に実施し、自主警備の実施方法等について改善を申し入れること。
(2) 祭礼等の伝統行事の問題点については、行事が終了した段階から主催者(住民)との十分な検討会を行い、長期的な展望に立った改善に配慮すること。
第11 報告
1 規程第40条に基づく署長の報告は、第5の1の(2)に規定する行事等とし、当該雑踏警備計画の内容及び事前指導の内容について、事前に地域指導課長経由して警察本部長に報告すること。
2 署長は、管内で実施した雑踏警備実施に係る問題点、効果的事例について、都度地域指導課長を経由して警察本部長に報告すること。
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