「和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例」の運用について(例規)

(最終改正:平成16年5月11日 地指第48号)
和歌山県警察本部長から各所属長あて
和歌山県遊泳者等の事故防止に関する条例(平成5年和歌山県条例第40号。以下「条例」という。)が平成5年10月25日公布され、同条例及び同条例施行規則(平成5年和歌山県公安委員会規則第8号。以下「規則」という。)が平成6年1月25日から施行されることとなったので、次の諸点に配意し、適正な運用に努められたい。
第1 制定の趣旨
本県は美しい海岸線に恵まれ、しかも、京阪神に隣接することから、県内はもちろん県外からのマリンスポーツ客等が増加の一途をたどっており、また、海洋レジャーが多様化してきていることから、遊泳者とプレジャーボートの衝突事故をはじめ各種の水難事故が多発する傾向にある。
これまで、これら水難事故を防止するため、既存の法令等を駆使した指導取締り、海水浴場関係者等に対する行政指導等を行ってきたところである。
しかし、現行の海事関係法令等には、遊泳者等の安全を確保するための規定が乏しく、関係者の自主規制等に委ねる部分が多かったが、自主規制等にはおのずから限界があり、有効な事故防止対策が採れない状況にあった。
このため、条例では、海水浴場開設者、海域等レジャー事業者及び催物開催者に対して、公安委員会等への届出及び通知並びに水難事故防止の措置を義務付けるとともに、遊泳者、プレジャーボート利用者等に対する禁止事項及び遵守事項を規定し、これに基づく積極的な指導取締りを行うことによって、本県海域等における水難事故の防止を図ろうとするものである。
第2 運用上の基本
1 条例の適正な運用
条例は、本来、誰でも自由に使用できる海域等の利用について、水難事故防止の観点から必要な一定の制限を加えるものである。
したがって、条例の適用に当たっては、この趣旨を踏まえて適正・妥当を旨とし、いやしくも県民の権利を不当に侵害することのないようにしなければならない。
2 広報活動の徹底
条例の実効を期すためには、広く県民にその内容を周知してもらい、理解と協力を得ることが不可欠であるところから、積極的な広報を実施すること。
特に、本県の海水浴場等の利用者には、京阪神を中心とした県外者が多く含まれていることから、県外の利用者に対する広報にも十分配意し、海水浴場開設者、海域等レジャー事業者等の協力を得て、看板の掲示、放送等による積極的な広報を実施して、周知徹底を図ること。
3 罰則の適用
条例には、遊泳者等の水難事故の防止の徹底を図るため、危険な行為に対する直接罰の規定、警察官の指示を前提とした間接罰の規定等を定めているが、その指導取締りに当たっては、遊泳者等の生命・身体に重大な危害が及ぶおそれのある悪質・危険な行為については徹底して検挙することとし、その他の違反については、第一次的に行政指導等によって水難事故の防止を図り、罰則の適用は第二次的なものとして運用すること。
第3 運用上の留意事項
1 教養の徹底
条例の趣旨、内容等について、所属職員に対する教養を徹底し、運用の適正を期すること。
2 検挙上の留意事項
条例違反の現場は、水上であることが多いため、実況見分等を行う場合には、その特殊性を十分考慮して、地点の特定、距離の測定等に誤りのないようにするとともに、十分な立証措置を講じること。
3 標識の保守・管理の徹底
条例第7条第1項に規定する遊泳区域の指定は、公安委員会の標識を設置して行うこととなるが、標識の設置状況等が違反成立の重要な要素となることから、遊泳者等から明確に分かるよう視認性の確保に努めるなど、その保守・管理の徹底を図ること。
4 関係者に対する指導の徹底
条例には、事故防止のための各種遵守事項を規定しているが、これらの遵守事項違反について処罰規定は設けていないものの、事故防止のためにはその誠実な履行は欠かせないことから、関係者に対する指導を徹底し、確実に遵守させること。
第4 届出等に伴う事務処理要領
1 海水浴場開設届出(通知)の受理
(1) 届出(通知)の指導
ア 一般に海水浴場と呼ばれ、条例第2条第3号に規定する遊泳者のための利便施設を整備したところにあっては、条例第3条又は第5条第2項の規定により公安委員会への届出(通知)が義務付けられる。
イ 警察署長は、条例に規定する利便施設が未整備な海水浴場であっても、毎年海開きを行ったり、テレビ等の広報媒体により宣伝を行っている海水浴場については、公安委員会に届出(通知)するよう指導すること。
ウ 届出は、開設の10日前を目安に指導すること。
(2) 届出(通知)の受理
警察署長は、規則第4条又は第6条に規定する海水浴場開設届出書(通知書)を受理したときは、海水浴場開設届出・通知受理簿(別記様式第5号)に記載するとともに、届出書(通知書)の正本を、生活安全部地域指導課長(以下「地域指導課長」という。)を経由して警察本部長(以下「本部長」という。)に送付すること。
(3) 開設者の特定
条例では海水浴場開設者の要件について具体的に規定していないので、警察署長は、海水浴場の開設・管理の実態、環境整備等に伴う出資状況等を総合的に勘案して、水難事故防止の措置を確実に履行できる者を開設者とするよう指導すること。
(4) 占用許可等の取得指導
ア 海水浴場を開設するに当たり、海浜に施設を設け、又は海面にブイ等を設置する場合は、それぞれ主管官庁の占用許可等を取得する必要がある。
イ 警察署長は、届出(通知)を受理するに際しては、必要な占用許可等の取得状況を確認するとともに、占用許可等が取得されていない場合には、当該占用許可等を取得するよう指導すること。
2 遊泳区域の指定手続き
(1) 遊泳区域指定(解除)の上申
ア 警察署長は、条例第7条に規定する遊泳区域を指定し、又は解除する必要があると認めるときは、遊泳区域指定・解除上申書(別記様式第1号)により地域指導課長を経由して本部長に上申すること。
イ 上申に際しては、その指定(解除)の必要性について調査を行い、その調査結果を遊泳区域指定に関する基礎調査書(別記様式第2号)に記載して遊泳区域指定・解除上申書に添付すること。
(2) 遊泳区域の指定等
条例第7条第1項に規定する遊泳区域の指定に当たっては、遊泳区域指定簿(別記様式第3号)に登載の上、規則第9条に規定する遊泳区域指定通知書により、警察署長を経由して海水浴場開設者に通知するものとする。
3 遊泳区域への乗入れ等の許可申請書の取扱い
(1) 乗入れ等の許可
警察署長は、規則第11条に規定する遊泳区域乗入れ等許可申請書を受理した場合は、遊泳区域乗入れ等許可申請書受理簿(別記様式第7号)に登載の上、乗り入れ等の必要性及び安全性を判断し、必要がある場合は条件を付して、許可するものとする。
(2) 許可条件
ア 本許可行為については、羈束裁量行為であるため、次のような条件を満たす場合には許可しなければならない。
(ア) 遊泳区域における遊泳者の安全に支障を及ぼすおそれがないと認められるとき。
(イ) 許可に付された条件に従うことにより遊泳区域における遊泳者の安全に支障を及ぼすおそれがなくなると認められるとき。
イ 警察署長は、遊泳区域への乗入れ等の許可を行う場合で、必要があると認めるときには、条件を付すことができるが、この場合は、次のような条件を付すものとする。
(ア) 航行時間を制限すること。
(イ) ブイ等の標示による遊泳者の分離を図ること。
(ウ) 警戒員を配置すること。
(エ) 現場警察官の指示に従うこと。
(3) 許可番号の指定
警察署長は、上記の許可を行うに当たっては、事前に地域指導課長に通報し、遊泳区域乗入れ等許可簿(別記様式第4号)への記載及び許可番号の指定を受けること。
(4) 不許可処分に当たっての協議
警察署長は、条件を付しても水難事故の防止が図れないと認めるときは、不許可処分とすることができるが、この場合は、事前に地域指導課長と協議すること。
4 海域等レジャー事業開始届出(通知)の受理
(1) 届出(通知)の指導
警察署長は、管内の海域等レジャー事業者の実態把握に努めるとともに、必ず届出(通知)を行うよう指導すること。
(2) 届出(通知)の受理
ア 警察署長は、規則第12条又は第14条の規定による海域等レジャー事業開始届出書(通知書)を受理したときは、その事業内容、事業を営む場所の所在地等を確実に把握し、海域等レジャー事業開始届出・通知受理簿(別記様式第6号)に記載するとともに、届出書(通知書)の正本を地域指導課長を経由して本部長に送付すること。
イ 届出者が法人の場合は、代表者を明確にするために、必要に応じて登記簿、定款等で確認すること。
ウ 届出者が複数の営業所を有する場合で、営業所が複数の警察署の管轄にわたる場合には、届出(通知)を受けた警察署長は、一括してこれを受理し、関係警察署長に通報すること。
5 催物開催の届出(通知)の受理
(1) 届出(通知)の指導
警察署長は、海域等で行われる行事等で、ポスター、チラシ、立て看板、新聞広告、テレビ等の広報媒体を利用して宣伝しているものについては、多数の一般公衆を集めて観覧させる目的が認められ、条例第14条に規定する催物に該当することから、その開催に当たっては、必ず同条に規定する届出(通知)を行うよう主催者等を指導すること。
特に、海と陸の両方を利用して開催するトライアスロン等の催物は、道路交通法(昭和35年法律第105号)第77条に規定する道路使用許可申請とは別に条例第14条に規定する届出(通知)を行うよう指導すること。
(2) 特定港内における行事との関係
警察署長は、特定港内で開催する催物が港則法(昭和23年法律第174号)第32条の規定により港長の許可を得ている場合であっても、当該許可と条例の届出(通知)とは目的を異にするので、届出(通知)を行うよう指導すること。
(3) 届出(通知)の受理
警察署長は、規則第17条又は第18条に規定する催物開催届出書(通知書)を受理したときは、催物届出・通知受理簿(別記様式第8号)に記載するとともに、副本を地域指導課長を経由して本部長に送付すること。
6 廃止・変更届出(通知)の受理
警察署長は、規則第5条又は第6条に規定する海水浴場廃止・変更届出書(通知書)若しくは規則第13条又は第14条に規定する海域等レジャー事業廃止・変更届出書(通知書)を受理したときは、それぞれ、海水浴場開設届出(通知)又は海域等レジャー事業開始届出(通知)の受理に準じた措置を採ることとし、それぞれの届出・通知受理簿に必要事項を赤字で記載するものとする。
7 受理簿等の取扱い
地域指導課長及び警察署長は、届出等の受理状況を明確にするため、次表に掲げる公文書ファイルをその区分に応じて備え付けておくこと。
公文書ファイル名 地域指導課長 警察署長
海水浴場開設届出・通知受理簿
遊泳区域指定簿  
遊泳区域乗入れ等許可申請書受理簿  
遊泳区域乗入れ等許可簿  
海域等レジャー事業開始届出・通知受理簿
催物届出・通知受理簿  
8 水難事故防止上の指導等
(1) 警察署長は、海水浴場開設者及び海域等レジャー事業者に条例第6条第1項、第12条第1項又は第13条第1項の事故防止措置を採っていない等の義務違反が認められ、条例第19条第1項に定める公安委員会の指示を行う必要があると認めるときは、地域指導課長を経由して本部長に上申すること。
(2) 警察署長は、催物開催者が当該催物の参加者又は観覧者のために採る安全措置が不十分であると認めるとき、又は天候や海域等の状況から事故の発生が予想されるときは、条例第19条第2項により、開催の中止指示を含め事故防止のために必要な措置を採るよう具体的に指示すること。
(3) 警察署長は、条例第19条に規定する指示を行うまでに至らない場合であっても、海水浴場開設者、海域等レジャー事業者その他関係者に対し、水難事故等の防止のために有効と認められる指導・助言を積極的に行うこと。
9 海域等の調査
警察署長は、海水浴場その他の海域等の地形、潮流の状況等について、実地踏査、関係者からの聞き取り調査等の方法により定期的に調査を行い、その結果を地域指導課長を経由して本部長に報告すること。
第5 検挙に当たっての事前協議
条例第24条及び第25条に係る違反を検挙しようとする場合は、事前に地域指導課長と協議するものとする。
第6 事務の取扱い
警察署における事務の取扱いは、地域課において行うものとする。

(別記様式省略)
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