被害者連絡実施要領の制定について(例規)

(最終改正:平成26年6月25日 務第46号)
和歌山県警察本部長から各所属長あて
被害者連絡制度については、「被害者連絡実施要領の制定について(例規)」(平成8年8月13日付け捜一他第22号)に基づいて運用されているところであるが、近時の捜査等に関する情報提供についての要望の高まりを踏まえ、この度、別記のとおり「被害者連絡実施要領」を新たに制定し、平成19年2月20日から実施することとしたので、それぞれの被害者連絡に係る事情を勘案しつつ、確実に被害者連絡が実施されるよう努められたい。
なお、「被害者連絡実施要領の制定について(例規)」(平成8年8月13日付け捜一他第22号)は、廃止する。

別記

被害者連絡実施要領

第1 目的
この要領は、身体犯又は重大な交通事故事件及び警察本部長(以下「本部長」という。)又は警察署長(以下「署長」という。)が必要と認める事件(触法少年事案を含む。)の被害者又はその遺族(以下「被害者等」という。)に対する捜査状況等についての連絡の確実な実施を期するため、連絡内容、連絡に係る体制等について定めることを目的とする。
第2 連絡対象者
1 連絡対象者は、次に定める身体犯又は重大な交通事故事件及び本部長又は署長が必要と認める事件の被害者等とする。ただし、被害者が少年の場合には、原則として、その保護者に連絡するものとする。
2 身体犯とは、次に掲げる罪に当たる違法な行為をいう。
(1) 殺人(刑法(明治40年法律第45号)第199条の罪であり、未遂を含む。)
(2) 強盗致死傷(刑法第240条の罪であり、未遂を含む。)
(3) 強盗強姦及び強盗強姦致死(刑法第241条の罪であり、未遂を含む。)
(4) 強姦(刑法第177条の罪であり、未遂を含む。)
(5) 強制わいせつ(刑法第176条の罪であり、未遂を含む。)
(6) 準強制わいせつ及び準強姦(刑法第178条の罪であり、未遂を含む。)
(7) 集団強姦(刑法第178条の2の罪であり、未遂を含む。)
(8) 強制わいせつ等致死傷(刑法第181条の罪)
(9) 未成年者略取及び誘拐(刑法第224条の罪であり、未遂を含む。)
(10) 営利目的等略取及び誘拐(刑法第225条の罪であり、未遂を含む。)
(11) 身の代金目的略取及び誘拐(刑法第225条の2の罪であり、未遂を含む。)
(12) 所在国外移送目的略取及び誘拐(刑法第226条の罪であり、未遂を含む。)
(13) 人身売買(刑法第226条の2の罪であり、未遂を含む。)
(14) 逮捕及び監禁(刑法第220条の罪)
(15) 逮捕等致死傷(刑法第221条の罪)
(16) 傷害致死(刑法第205条の罪)
(17) 傷害(刑法第204条の罪)のうち、被害者が全治1か月以上の傷害を負ったもの
(18) 前各号の罪以外で、致死傷を結果とする結果的加重犯において、致死の結果が生じたもの又は致傷の結果が生じたもののうち被害者が全治1か月以上の傷害を負ったもの(交通事故事件に係るものを除く。)
3 重大な交通事故事件とは、次に掲げる交通事故事件をいう。
(1) 死亡ひき逃げ事件
車両等の交通により人が死亡した場合において、道路交通法(昭和35年法律第105号)第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係る事件
(2) ひき逃げ事件
車両等の交通により人が傷害を負った場合において、道路交通法第72条第1項前段に規定する措置を講じなかった違反に係る事件
(3) 交通死亡事故等
前2号のほか、車両等の交通による人の死亡があった事故及び人が全治3か月以上の傷害を負った事故
(4) 危険運転致死傷罪等に該当する事件
前3号のほか、危険運転致死傷罪(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律(平成25年法律第86号)第2条及び第3条)、無免許危険運転致傷罪(同法第6条第1項)及び無免許危険運転致死罪罪(同法第6条第2項)に該当する事件
第3 連絡内容
連絡は、被害者等から事情聴取を行った捜査員等の事件担当捜査員(触法少年事案に携わる警察職員を含む。以下同じ。)が、これらの者に対して課係及び氏名を教示した上、その意向に反しない限り面接、架電等の方法により、次に掲げる項目について行うものとする。
なお、連絡に際しては、「指定被害者支援員制度並びに運用要領の制定について」(平成15年4月10日付け相他第22号)に定める指定被害者支援員と緊密な連携を図ること。
1 刑事手続及び犯罪被害者のための制度
事件の認知時等、捜査の初期段階において、「被害者の手引」を配布した上で、刑事手続及び犯罪被害者のための制度についての連絡を行うものとする。
2 捜査状況(被疑者検挙まで)
(1) 身体犯の場合
ア 被害者死亡事件
被害の届出を受理した後、おおむね2か月、6か月及び1年を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行うほか、以後、原則として、少なくとも1年に1度、定期的な連絡を行うものとする。
イ ア以外の身体犯
被害の届出を受理した後、おおむね2か月を経過した時点で被疑者検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行う。
なお、被害者等の意向、事案の内容等を総合的に勘案して、以後、状況に応じて連絡を行うものとする。
(2) 重大な交通事故事件の場合
ア 死亡ひき逃げ事件
事件の認知後、おおむね2週間、2か月、6か月及び1年を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行うほか、以後、原則として、少なくとも1年に1度、定期的な連絡を行うものとする。
イ ひき逃げ事件
事件の認知後、おおむね2週間を経過した時点で被疑者の検挙に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行う。
なお、被害者等の意向、事案の内容等を総合的に勘案して、以後、状況に応じて連絡を行うものとする。
ウ 交通死亡事故等及び危険運転致死傷罪等に該当する事件
事件の認知後、おおむね1か月を経過した時点で被疑者の送致に至っていない場合は、捜査に支障のない範囲内での捜査状況の連絡を行う。
なお、被害者等の意向、事案の内容等を総合的に勘案して、以後、状況に応じて連絡を行うものとする。
3 被疑者の検挙状況
(1) 逮捕事件の場合
被疑者を逮捕した場合は、逮捕後速やかに被疑者検挙の旨、被疑者の人定その他必要と認められる事項について連絡するものとする。ただし、否認事件、いまだ逮捕していない被疑者のいる共犯事件等、逮捕後速やかに連絡を行うことが捜査に支障を及ぼし、又は支障を及ぼすおそれのある場合は、連絡による捜査への支障がなくなった段階で連絡を行うものとする。
なお、被疑者の身柄拘束中に余罪として送致した場合の連絡内容についても逮捕事件の場合と同様とする。
また、逮捕した被疑者を送致する前に釈放した場合は、釈放後速やかに釈放の旨及びその理由について連絡を行い、勾留(少年事件の場合の勾留に代わる観護の措置を含む。以下同じ。)が行われなかった場合には、釈放後速やかにその旨について連絡するものとする。
(2) 在宅送致事件の場合
被疑者を在宅で送致した場合は、送致後速やかに被疑者検挙の旨、被疑者の人定、事件を送致した検察庁(以下「送致先検察庁」という。)その他必要と認められる事項について連絡するものとする。
なお、被疑者を逮捕したが、その後身柄を釈放し、在宅で送致した場合も同様とする。
(3) 少年事件の場合の特例
被疑者が少年の場合で、被害者等に被疑少年の人定その他必要と認められる事項を連絡することにより被疑少年の健全育成を害するおそれがあると認められるときは、被疑少年の人定等に代えてその保護者の人定等を連絡するものとする。
なお、被疑少年又はその保護者の人定等を被害者等に連絡したときは、連絡後速やかに当該被疑少年の保護者に対してその旨を連絡するものとする。
(4) 触法少年事案の場合
14歳未満の少年が、第2の2、第2の3に掲げる行為を行った場合で、児童相談所への送致又は通告を行ったときには、事後速やかにその旨及び当該触法少年の保護者の人定その他必要と認められる事項について連絡するものとする。
なお、触法少年の保護者の人定等を被害者等に連絡したときは、連絡後速やかに当該触法少年の保護者に対してその旨を連絡するものとする。
4 逮捕被疑者の処分状況
逮捕後、勾留が行われた事件については、勾留期間満了後速やかに送致先検察庁、処分結果(起訴、不起訴、処分保留等)、公訴を提起した裁判所(起訴の場合のみ)その他必要と認められる事項について連絡するものとする。ただし、被疑者が少年の場合は、勾留期間満了後速やかに送致先検察庁又は送致した家庭裁判所について連絡するものとする。
5 連絡の際の配意事項
(1) 被害者等及びその関係者の素行、言動等により、これらの者による被疑者への報復の可能性が認められるなど、連絡を行うことが適当でないと認められる場合には、連絡を行わないものとする。
(2) 暴力団犯罪の被害者への連絡については、和歌山県警察保護対策実施要綱(平成9年6月9日付け暴対第26号)に基づく保護対策の実施との調整を図るものとする。
(3) 連絡の際には、被害者等に対して、被疑者(触法少年を含む。)及びその保護者(被疑者が少年の場合)のプライバシーの重要性について説明を行い、当該被疑者等のプライバシーに関する紛議事案が起こることのないよう配意するものとする。
なお、少年事件の場合には、少年の健全育成の重要性について説明を行うとともに、触法少年事案の場合には、少年法(昭和32年法律第168号)及び児童福祉法(昭和22年法律第164号)の趣旨や刑法第41条による犯罪の不成立等についても説明を行い、少年の健全育成についての十分な配慮を行うものとする。
(4) 被疑者が精神病等により責任無能力又はその疑いが強い場合は、可能な限り当該被疑者の保護者の了解を得た上で連絡を行うものとする。
第4 連絡に係る体制等
1 被害者連絡責任者の指定等
(1) 署長は、事件の捜査(触法少年事案の調査を含む。以下同じ。)を担当する課(以下「事件捜査担当課」という。)の課長を被害者連絡責任者に指定するとともに、連絡の実施状況を把握し、連絡が確実に行われるように必要な措置を講じるものとする。
(2) 交通部高速道路交通警察隊(以下「高速道路交通警察隊」という。)の隊長は、副隊長を被害者連絡責任者に指定するとともに、連絡の実施状況を把握し、連絡が確実に行われるように必要な措置を講じるものとする。
なお、その他警察本部の所属が連絡を行う場合についても、これに準じるものとする(3の(2)においても同じ。)。
2 被害者連絡責任者の任務等
(1) 警察署の事件捜査担当課の課長は、被害者連絡責任者として、当該課における連絡の実施状況を把握し、連絡が確実に行われるように事件担当捜査員を指導・監督するものとする。
また、警察署の刑事担当課(刑事第一課、刑事第二課及び生活安全刑事課をいう。以下「刑事課」という。)の課長は、刑事課において庶務的業務を行っている者1名を、警察署の交通課長は、交通課において交通捜査業務を行っている者1名をそれぞれ被害者連絡担当係に指定するものとする。
(2) 高速道路交通警察隊の副隊長は、その隊において交通捜査業務を行っている者1名を被害者連絡担当係に指定するとともに、連絡の実施状況を把握し、連絡が確実に行われるように事件担当捜査員を指導・監督するものとする。
(3) 被害者連絡担当係は、被害者連絡責任者を補佐し、連絡の実施状況を確実に把握するとともに、事件担当捜査員に対し、連絡内容等に関する指導助言を行うものとする。
3 被害者連絡経過票の作成管理
(1) 事件担当捜査員は、事件の認知時等、連絡を行ったときは、速やかに被害者連絡経過票(別記様式。以下「経過票」という。)を作成するものとする。
(2) 経過票は、各事件捜査担当課及び高速道路交通警察隊その他警察本部の所属の庶務担当係において襲用保存するものとする。
4 事件担当捜査員が不在の場合の被害者等からの問い合わせの対応
事件担当捜査員の不在時に、被害者等から問い合わせがあった場合は、確実にその旨を事件担当捜査員に引き継ぐものとする。
第5 関係所属との連携
1 被害認知警察署と被疑者検挙警察署が異なる場合の取扱い
連絡は、原則として、被害を認知した警察署(以下「被害認知警察署」という。)が担当するものとする。この場合において、被害認知警察署と被疑者を検挙した警察署は連携を密にし、確実な連絡の実施に努めること。
2 地域部門との連携
(1) 身体犯の事件担当捜査員は、被害者等の不安感を解消するとともに被害者が再び被害に遭うことを防止するため、地域課員による訪問・連絡活動の実施に関する要望の有無を確認するものとする。
(2) 被害者等が地域警察官による訪問・連絡活動を希望した場合の対応要領については、別に定める。
3 犯罪被害者支援担当部門との連携
(1) 被害者連絡責任者は、身体犯の連絡対象事件を認知したとき及び被害者等が犯罪被害者等給付金の支給申請を要望したときは、警察署の警務課長にその旨を確実に連絡すること。
(2) 事件担当捜査員は、警察署の被害者支援担当者と緊密に連携して連絡を行うものとする。

(別記様式省略)
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