県民に対する地域安全情報の提供の推進について(例規)

(制定:平成20年12月3日 生企・総・務・地指・刑企・交企・公第67号)
和歌山県警察本部長から各所属長あて
地域安全情報の提供に関する要綱(平成20年12月3日付け生企、総、務、地指、刑企、交企、公第66号)に基づき、県民に対する地域安全情報の提供を行う際の留意事項を次のとおり定め、平成20年12月3日から施行することとしたので、適切な地域安全情報の提供の推進に努められたい。
第1 情報提供の在り方の基本
情報提供は、県民に実際に情報が到達し、かつ、その情報に接した県民に何らかの自主防犯行動を促すことを目的とするものである。
そのためには、県民の立場に立った情報提供を基本とし、警察から発信した情報が県民に対してどのように到達し、どのような反応を得ているかという観点を常に持ち続けること。
第2 対象別の情報提供
情報提供に当たっては、その対象に応じた適切なものでなければならない。
1 地域住民に対する情報提供
地域住民に対する情報提供は、その情勢に接したことにより、住民が自ら積極的に防犯対策を講ずる契機となり得るようなものであることが重要であり、次の事項に配意すること。
(1) 時宜を得た迅速な情報提供
ア 子どもを対象とした事案、通り魔事案、連続放火事件、ひったくり、路上強盗等等の発生など、地域住民、保護者等に直ちに防犯対策を講ずるよう促すことが必要な場合には、地域住民、保護者等に情報が直接伝達される手段を検討することにより、迅速・確実な情報提供を行うこと。
イ 犯罪の発生件数等の数値情報を提供する場合には、最新の傾向や状況が把握できるようにするため、更新頻度を高めること。
(2) 県民に身近な犯罪に関する情報の提供
ア 情報の地理的な範囲については、市町村や小学校区など地域住民にとって、より身近で地縁のある地域を単位とすること。
イ ひったくり、路上強盗等の街頭犯罪については、犯罪発生地図等の作成により、危険な場所が視覚的に捉えられるような情報提供を行うこと。
(3) 被害状況が分かる具体的な情報
犯罪発生情報を提供する際は、発生場所や発生時間に加え、その情報に接した者が防犯対策を講ずる上での参考となるよう、被害に遭ったときの状況が具体的に分かる情報や被害の分析結果に関する情報などの提供を行うこと。
(4) 防犯対策を講ずる上での留意事項の同時提供
ア 犯罪の発生状況等に係る情報を提供する際には、被害に遭わないための留意事項など、防犯対策に関する情報も同時に提供すること。
イ 防犯対策に関する情報の提供に際しては、対策の講じ易さや対策に要する費用、対策の効果等の観点から優先順位を付したり、有効な防犯機器を紹介したりするなど、県民が実際に防犯行動をとることを容易にするよう提供方法を工夫すること。
ウ 住民のパトロール活動等の自主防犯活動によって犯罪認知件数が減少したり、防犯性能の高い建物部品や防犯設備の設置等によって被害発生が未然に防止できた事例などについては、地域住民の自主防犯活動を促すため、支障のない範囲で具体的な内容を情報として提供すること。
2 事業者、学校、市町村等に対する情報提供
金融機関、コンビニエンスストア等の事業者、学校、市町村等(以下「事業者等」という。)に対する情報提供の在り方については、対象となる事業者等が被害に遭いやすい罪種や手口に関する情報を重点とし、情報の提供を受けた事業者等が確実に防犯対策を講ずることによって犯罪の発生抑止につながる情報提供が重要であり、地域住民に対する情報提供の配意事項のほか、次の事項に配意すること。
(1) 警察からの情報提供に対し、的確な対応を期するためには、情報提供の相手方を可能な限り固定すること。事業者等についても、警察からの情報提供の直接の相手方となる防犯責任者や防犯管理者(以下「防犯管理者等」という。)を置くよう働きかけるとともに、防犯管理者等を相手方担当者として直接情報を提供すること。
(2) 防犯管理者等に提供した情報は、それぞれの職域等において有効に活用されることが必要である。そのため、防犯管理者等が防犯対策を講じる際の支援となるような情報提供に努めること。具体的には、他の都道府県において発生した事案であっても、同種事業者の参考となるような情報を積極的に提供するとともに、情報提供日を設定するなど、防犯管理者等の日常業務の一部に組み込まれるような情報提供方法を工夫すること。
第3 情報提供の手段
情報の提供に当たっては、提供手段それぞれの持つ特性に配慮するとともに、可能な限り複数の提供手段を用いるなど、県民に確実に届く方法に配慮すること。
1 インターネット等を通じた情報提供
インターネット等を通じた情報提供は、低コストで大量の情報を多数の者に同時に送ることができ、従来の媒体にはない特徴を備えている。ただし、インターネット等を通じた情報提供に当たっては、次の事項に配慮すること。
(1) 和歌山県警察ホームページ(以下「警察ホームページ」という。)への情報掲載は、更新が容易であって速報性に優れているとともに、画像等を活用することで分かりやすく表現できることから、犯罪発生情報(件数)や地図情報などを簡単に提供することができる。
一方で、警察ホームページは誰でも閲覧することができることから、被害者等事件関係者のプライバシーへの配慮や捜査上の秘密等警察活動への影響などに注意すること。
(2) 携帯電話を含む電子メールによる情報提供は、受信者に直接送信されることからリアルタイム性が高く、犯罪発生情報や声かけ事案等の不審者情報の提供等による迅速な防犯行動が期待できるため、携帯電話を含む電子メールによる積極的な情報提供に努めること。ただし、メール受信者の選択方法によって、送信相手がどのような者であるか把握が難しく匿名性が高くなることから、警察ホームページへの掲載の場合と同様に関係者のプライバシーや捜査上の秘密に十分留意すること。
また、特に、携帯電話へのメール送信については、1回に送信可能な情報量に一定の限界がある上、受信費用は受信者の負担となることに留意し、情報送信の内容、容量、頻度に配意すること。
(3) 事業者等インターネットへの接続環境が整っていることが期待できる対象に対しては、警察ホームページを更新した場合には更新の概要を電子メールで送信するなど、メールとホームページとの連携を高める工夫をすること。この場合、電子メールを定期的に送信する(いわゆるメールマガジン方式)など、受信者が警察からの情報発信を確実に受け取るよう工夫すること。
2 ミニ広報紙、新聞折込チラシ等による情報提供
インターネットには従来のメディアにない特徴があるが、インターネットを利用していない者や関心が薄い者等、相手方によっては警察ホームページにアクセスすることが期待できない場合がある。そのため、インターネットによる情報提供のみでは、本来情報を受け取って欲しい対象に確実に到達できないおそれがある。一方、ミニ広報紙や新聞折込チラシ等は一定の地域住民に広く配付されており、インターネットを利用していない者や関心が薄い者にも情報を到達させやすいところである。
したがって、警察ホームページによる情報提供のみで十分とせず、ミニ広報紙等従来からの情報媒体の活用にも十分配慮すること。
特に、警察ホームページに掲載した情報について、地域住民に確実に知ってもらいたい場合には、併せてミニ広報紙等による情報提供に努めること。そのため、ホームページに掲載する情報が速やかにミニ広報紙等に反映されるよう、警察ホームページの情報更新を依頼する段階からミニ広報紙等への転載を前提としたデザインに配意すること。
3 防犯診断、防犯訓練等の機会を通じた情報提供
防犯診断、防犯訓練等の防犯学習の場において、警察職員が直接地域住民に接して行う情報提供は、参加した者に強く印象に残ることが期待できることから、インターネット、ミニ広報紙等による情報提供を通じて、県民の防犯に対する関心を高めるとともに、参加・体験型の防犯学習の機会提供にも配意すること。
また、防犯ボランティアや防犯学習への参加者等、防犯に関する関心の特に高いと考えられる者については、これらの者からいわゆる口コミ等により家族・知人に知識・経験が伝播していくことが期待できることから、これらの者に対する重点的な情報提供にも配意すること。
第4 個人のプライバシーや捜査上の秘密への配慮
警察の保有する情報は、個人のプライバシーや捜査上の秘密に関わるものが多く、不用意な情報提供は、警察活動にかえって逆効果となるおそれもあり、情報の提供に当たっては細心の注意が必要である。犯罪発生状況等を提供するに当たっては、被害者等の事件関係者に十分配慮するとともに、次の事項について留意すること。
1 情報提供に当たっては、個別の事件の特定又は推認が困難な情報とし、被害者等の事件関係者に配慮した方法により行うこと。
2 性犯罪の発生状況等が情報提供された場合には、被害者の感情に与える二次的な影響が大きいとともに、逆に、警察に対する被害の届出が推知され、特定の被害者が、再度、犯罪の被害を受けることなども懸念されることから、基本的に情報提供を行わないこと。ただし、犯罪発生状況等から判断して情報提供が必要な場合は、被害者のプライバシー等を最大限考慮した内容とすること。
3 犯罪の認知件数が少ない地域においては、犯罪発生状況等の情報を提供することにより、個別の事件が特定又は推認されやすいなどの地域的事情を考慮すること。
4 内偵中の事件に係る捜査等に支障が生じることのないよう、十分調整を図ること。
第5 自主防犯行動への支援と見直し
情報提供の目的は、その情報に接したことによって県民が自ら積極的に防犯対策を講じ、結果として県民に身近な犯罪の発生が抑止されるというところにある。
したがって、情報を一方的に伝達するだけではなく、事業者等、地域住民による防犯パトロールや地域別犯罪発生地図の作成などの自主防犯行動が促進されるよう、適切な支援に努めること。
また、防犯診断、防犯訓練等の機会はもとより、警察活動のあらゆる機会を通じて事業者等及び地域住民の防犯に関する意識、知識等掌握に努めるとともに、情報が浸透していないと認められた場合には、情報の内容、提供方法等について見直しを行うこと。

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