和歌山県警察保護取扱規程の制定について

(最終改正:平成28年10月14日 少第49号)
和歌山県警察本部から各所属長あて
警察官職務執行法(昭和23年法律第136号)第3条に基づく保護を適正に行うため昭和33年4月25日、和歌山県警察本部訓令第11号を以て、和歌山県警察保護取扱規程を制定し、来る5月1日から実施することとしたから、次の事項に留意の上、適正な運用を図られたい。
1 この規程の目的(第1条関係)
この規程は、警察官職務執行法第3条及び酒に酔って講習に迷惑をかける行為の防止等に関する法律(昭和36年法律第103号、以下「法」という。)第3条に基づいて警察官が行う保護について、その取扱上の準則を定め、保護の適切な運用を図ることを目的とするものである。
2 基本的な心構え(第2条関係)
警察官職務執行法及び法に定める保護は、要保護者自身のために行われるものであって、被疑者である被留置者とは、根本的にその性格を異にするものである。したがって、取扱いについては細心の注意をもって当たり、いやしくも人権を侵害することのないようにすること。
3 保護の責任について(第4条関係)
(1) 第4条に定めるとおり、保護についての責任者は保護主任者である。保護を担当する課の長とは、具体的には各警察署の生活安全事務を担当する課長である 
(2) 保護主任者の任務は
ア 報告を受けた要保護者に対する保護の要否の決定
イ 要保護者の保護場所の決定
ウ 家族その他の者に対する身柄引取方の手配
エ 危険物の確認保管
オ 要保護者に対する処遇の適正
カ 保護の解除、身柄の引渡し
キ 関係機関に対する通報
等、保護の開始から終了まで、保護取扱いの全般について署長を補佐し、職員を指揮監督して保護の実施に当たる責を負うものである。
なお、第4条に規定するように、保護室に収容した要保護者及び保護室の管理についても、保護主任者は全般的にその責を負うものである。
(3) 保護主任者不在の場合とは、退庁後又は休日の場合と疾病、出張その他の事故で不在の場合とが考えられるが、前者については当直責任者が、後者については警察署長の指定した者が、代わってその職務を行うこと。
なお、不在の場合における代行者は、あらかじめ指定しておくことが望ましいが、この場合は、保護事務担当の係長又はその他の生活安全事務を担当する係長等が適当であると思われる。
4 関係簿冊の処理
(1) 保護取扱簿は、その署において取り扱ったすべての保護について、保護事務を担当する係又は保護取扱者によって、その経過を記録するものとする。
(2) 要保護者を保護する場合は、保護事務担当者又は保護取扱者によって基本的事項を記入した上、看守者に引継ぎ、事後保護中の事項については、看守者が記入するように取り扱うこと。
(3) 保護取扱簿の記載
ア 保護の理由欄には、要保護者発見の日時、場所、発見当時の状況等、保護を必要と認めた具体的状況を記入しておくこと。
イ 保護の場所欄には、○○病院、××交番等具体的に記入しておくこと。
ウ 保護の期間欄中、保護開始日時は、実際に保護に着手した日時を、保護終了日時は、当該保護を解除した日時を記入しておくこと。
エ 保護終了後の身柄措置欄の引渡し先は、個人にあっては住居、職業、続柄及び氏名を、関係機関にあっては、所在地、名称及び引受者の官職、氏名を記入しておくこと。
オ 保護開始当時の外傷等の状況は、軽微なものであっても、その部位、程度を詳細に記入しておくこと。
カ 備考欄には、家人その他引取人に対する連絡の状況等を記入しておくこと。
5 保護の手続(第7条関係)
(1) 第7条第1項の警察官とは、保護事務担当の係員のみならず、全警察官を指している。
(2) 「必要な措置」とは、保護目的達成のため、保護主任者の指揮を受けるまでに必要な応急の救護、危険物の確認等、保管保護の実施に必要な措置をいう。
(3) 保護場所は、要保護者の年齢、保護当時の状況等に応じて、保護室、宿直室、駐在所、交番、病院、救護施設等適当な場所を選定すべきであるが、やむを得ない事情が存在する場合を除いては、次の基準により措置するのが妥当であると考える。
ア 警察官職務執行法第3条第1項第1号及び法第3条に該当する者(精神錯乱者、泥酔者)は、保護室において保護する。
イ 同法同条同項第2号に該当する者(迷い子、病人、負傷者等)については、保護室以外の場所において保護する。
6 危険物等の保管(第8条関係)
(1) 第8条第1項によって、要保護者が危険物を所持しているかどうかを確かめることになっているが、この検査を被疑者に対する身体捜検と同意に解することは妥当ではない。
あくまでも、本人の保護に必要な限度において実施すべきであるが、自他に危害を及ぼすおそれのある物品は細心の注意をもって発見することに努むべきである。
(2) 危険物の保管は、要保護者の保護を円滑に実施するために行うものであるから、危険物を発見した場合においても、要保護者に任意に提出させるのが原則であるが、精神錯乱者、泥酔者等については、たとえ拒否したとしても、正常な精神状態下における意思表示とはいえないから、承諾がなくとも保管し得るものと解される。
(3) 保管した危険物が、その物の所持が法令により禁止又は制限されているものであれば、当該法令に準拠して措置すること。
(4) 危険物以外の物品の保管は、要保護者の財産に対する保護の見地からなされるものであり、危険物の保管とはその趣を異にしている。したがって、正常な判断能力のない精神錯乱者、泥酔者等を別として、要保護者の同意がない限り強制的に保管することはできない。
(5) 保管金品の取扱いについては、特に細心の注意を払い、物品の授受について疑惑を招くことのないようにすること。
7 通知、手配、引継等(第11条関係)
(1) 第11条第1項の責任ある引取人とは、保護を適切に行うことができる家族、知人等を指す。
(2) 引取人のない要保護者とは、次に掲げる者をいう。
ア 調査の結果、責任ある引取人のない者
イ 要保護者の状態から、その身元の確認ができない者
(3) 引取人のない要保護者は、警察官職務執行法第3条第2項の規定によって関係機関に引継ぐこととし、その引継先は次に掲げるとおりとする。
ア 迷い子等(18歳未満の行方不明者を含む。)については、児童福祉法(昭和22年法律第164号)第25条第1項により福祉事務所又は児童相談所
イ 病人、負傷者、身元の確認できない者等については、生活保護法(昭和25年法律第140号)第19条第1項、第2項若しくは第6項又は行旅病人及行旅死亡人取扱法(明治32年法律第93号)第2条第1 項により知事又は市町村長
(4) 精神障害のために自身を傷つけ又は他人に害を及ぼすおそれがあると認められる者を保護したときは、第11条第3項により知事に通報することにより、必要に応じ厚生労働大臣の指定する精神保健指定医の診察を受けることとなるが、その結果、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)第29条及び同法第29条の2に規定する入院措置がとられた場合は知事に引継ぎ、入院措置がとられなかった場合は第11条第1項又は同条第2項により措置すること。
要保護者に引取人がおらず関係機関等に引き継いだ際、「引取(渡)人」氏名簿」欄への署名等を徴することができなかった場合は、引き渡した関係機関等の担当者の人定事項等を聴取しその経緯を保護取扱簿の備考欄等に明記しておくこと。
(5) 保護しためいてい者がアルコールの慢性中毒者(精神障害者を除く。)又はその疑いのある者であると認めたときは、第11条第4項により最寄りの保健所長に通報し、症状の改善に向けた支援を行うよう求めるとともに、過度の飲酒が個人的及び社会的に害悪を及ぼすことを防止するため、要保護者、引取人等に対し、医師の診察を受けるよう勧めるなど、必要な助言を行うこと。
8 保護期間の延長(第12条関係)
第12条の規定は、警察官職務執行法第3条第3項に基づくものであるが、保護期間の延長は、最小限度の時間に止める必要がある。なお、児童福祉法第33条に基づく児童の委託一時保護の場合には、もはや警察官職務執行法第3条の保護ではないから、24時間を超えても許可状を必要としない。
9 簡易裁判所に対する通知(第13条関係)
簡易裁判所に対する通知は、警察官職務執行法第3条第5項及び法第3条第4項に基づいて行うのであるが、この通知は、保護室における保護のみでなく、この規程の対象となるすべての保護について行うこと。
10 事故防止の措置(第14条関係)
5の(3)のアにより、保護室において保護した精神錯乱者又は泥酔者が自己又は他人の生命、身体又は財産に危害を及ぼす事態にある場合は、保護バンドを使用するなどして事故の防止に努めること。
11 一時保護等の準用(第27条関係)
この規程は、本来警察官職務執行法及び法に基づく保護を対象としてその取扱いを定めたものであるが、第27条に定める一時保護等(児童の一時委託保護、少年の緊急同行及び少年院等からの逃走者の連れ戻しの場合における保護)については、その性格が留置ではなく、むしろ保護に近いので、本規程を準用すること。
なお、第27条に定める一時保護等の場合においても、保護取扱簿に記録することになるので留意すること。
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