探偵業の業務の適正化に関する法律等の解釈及び運用について(例規)

(最終改正:平成22年3月18日 生企第22号)
和歌山県警察本部長から各所属長あて
探偵業の業務の適正化に関する法律(平成18年法律第60号。以下「法」という。)及び同法施行規則(平成19年内閣府令第19号。以下「府令」という。)の施行に伴い、このたび、探偵業事務取扱規程(平成19年和歌山県警察本部訓令第27号。以下「訓令」という。)を制定し、平成19年9月18日から施行することとしたので、その運用に当たっては、下記の点に留意し、遺憾のないようにされたい。
第1 定義(法第2条関係)
1 探偵業務の定義(法第2条第1項)
「探偵業務」とは、他人の依頼を受けて、特定人の所在又は行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実地の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務をいう。
(1) 「他人の依頼を受けて」とは、契約に基づき、他人のために行うことをいう。
「他人」とは、当該契約に基づく業務を行う者以外の個人及び法人等をいい、法人等には、民法(明治29年法律第89号)第33条の規定により権利能力(法人格)を取得している法人及び民法や特別法によって法人格を取得していない「権利能力なき社団」も含まれる。ただし、次のような業務は、調査を行う場合であっても、自己の本来の業務のために行うものであり、「他人の依頼を受けて」行うものでないことから、探偵業務に該当しない。
○ 作家、著述家、フリージャーナリスト、インターネット・メディア等が自らの報道、著作等の用に供する目的で行う取材活動等
○ 学者、研究者等が自らの学術調査活動の一環として行う調査等の活動
○ 弁護士、公認会計士、税理士又は弁理士が自ら受任した事務を行うため必要な活動(ただし、弁護士等から依頼を受けて調査する場合は、探偵業務に該当する。)
(2) 「特定人」の「人」には、個人のほか法人等が含まれる。また、「特定」の程度については、個人の場合、住所、氏名等が必ずしも明らかである必要はないが、調査の対象者の個性に着目し、これを具体的に絞り込むことができる程度であることを要する。したがって、研究調査機関等が行う世論調査、アンケート調査のような業務は、不特定多数の者から特定の類型を基に対象者を抽出するものであり、対象者の個性を前提としたものではなく、特定人に関する調査とはいえないことから、探偵業務に該当しない。
(3) 「所在又は行動」には、現在のものだけでなく、過去又は未来の所在又は行動が含まれる。これらの情報の中には、特定の時期における個々具体的な「所在又は行動」だけでなく、勤務先、所属団体等についての情報や素行等一般の情報が含まれる。
他方、原則的に、単に個人又は法人の資産状況や経営戦略についての情報収集を行うことを目的とする業務は、「特定人の所在又は行動」についての情報収集を目的とするものでないことから、探偵業務に該当しないが、経営戦略に基づき執った行動の調査、例えば、調査対象の法人の役員がどういう所に出入りしているか等といったような調査は、探偵業務に該当する。
(4) 「面接による聞込み、尾行、張込み」は、実地(現場)の調査の方法の例示である。「その他これらに類する方法」は、現場に出向いて行われる調査(実地の調査)の手法であって、例示に挙げられた方法と同等程度に対象者の権利利益を侵害する可能性があるようなものをいい、例えば、秘匿性のあるカメラを設置し、その記録内容を解析する方法がこれに該当する。したがって、単に電話による問い合わせやインターネットを用いた情報の検索のみにより調査を行うだけの業務は、「実地の調査」を行うものでないことから、探偵業務に該当しない。
なお、実地の調査の対象となる者は、情報収集の目的とされる「特定人」に限られない。
(5) 探偵業務は、「調査の結果を当該依頼者に報告」する業務、すなわち、「依頼を受けて行う実地の調査」と「調査の結果の依頼者への報告」とが一体となって行われる業務である。したがって、あらかじめ実地の調査により個人の所在又は行動についての情報を広く収集し、データベースを構築しておき、そのデータを依頼に応じて提供するような業務は、探偵業務に該当しない。
なお、企業の信用調査等と称しても、特定企業の信用調査に当たり対象企業の役員の行動等に関して実地の調査を行い、その調査結果を依頼者へ報告するときは、探偵業務に該当することから、調査業務の実態を詳細に確認した上で、調査業務が探偵業務に該当するか否かの判断を行うこと。
2 探偵業の定義(法第2条第2項)
(1) 「営業」とは、営利の目的で同種の行為を反復継続して行うことをいう。営利の目的を持って反復継続して探偵業務を行えば、探偵業となり、現実に収益があるかないかは関係ない。
(2) 「探偵業」には、「専ら、報道機関の依頼を受けて、その報道の用に供する目的で行われるもの」は除外されるが、これは「報道の自由」を尊重する観点から、報道機関からの依頼を受けることを「専業」としているものを探偵業としての規制から除く趣旨である。したがって、報道機関からの依頼のほか、報道機関以外の者からの依頼も受けている場合は、除外されない。
なお、「報道機関」には、「報道」を行う出版社が含まれ、また、個人の作家、著述家、フリージャーナリスト等が含まれる。また、「報道」には、新聞の記事、ニュース番組のほか、事実に基づくものとして執筆されたコラム、エッセイ及び小説も含まれる。
(3) 「探偵業者」とは、法第4条第1項の規定による届出をして探偵業を営む者をいう。
第2 受理手続(訓令第2条・第3条関係)
1 受理事務(訓令第2条関係)
探偵業を営もうとする者又は探偵業者は、営業所ごとに、法第4条第1項の届出書(以下「開始届出書」という。)、同条第2項の届出書(以下「廃止届出書」又は「変更届出書」という。)及び府令第4条第2項の探偵業届出証明書再交付申請書(以下「申請書」という。)を提出する場合においては、当該営業所の所在地を管轄する警察署長を経由して、1通の届出書又は申請書を提出しなければならない(府令第1条)。
当該届出は、届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた形式上の要件に適合した届出が提出先とされている警察署に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとなる(行政手続法(平成5年法律第88号)第37条)。
また、和歌山県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、探偵業の開始届出又は変更届出があったときは、当該届出をした者に対し、法第4条第3項の探偵業届出証明書(以下「届出証明書」という。)を交付しなければならない。この届出証明書は、開始届出書又は変更届出書の提出に対して、届出があったことを証する書面であり、届出者が探偵業者としての欠格事由に該当しないことを証するものでないことから、当該届出者が法第3条各号に掲げる欠格事由に該当するか否かにかかわらず当該届出者に交付する必要がある。
したがって、これら届出書の記載に不備がないこと、必要な書類が添付されていること等の形式上の要件を確実に確認した上で受理するとともに、警察本部生活安全部生活安全企画課(以下「生活安全企画課」という。)に対し、直ちに当該届出書の受理番号の通知を求めるとともに、速やかに当該届出営業所に係る届出証明書の作成を依頼すること。
2 受理番号等(訓令第3条関係)
探偵業の届出は、営業所ごとの届出となっていること、また、届出証明書は、届出があったことを証する書面で、変更届出があるごとに新たに作成交付する必要があることから、同一の営業所であっても変更届出が行われるごとに当該営業所の届出証明書の日付、番号が異なることとなる。更に、探偵業者の中には、県内又は同一の警察署管内に複数の営業所を設置する可能性も予想される。
したがって、営業所ごとに探偵業者の実態を把握するとともに指導、監督する上で、営業所ごとに固有番号を付すことが不可欠であることから、開始届出書、廃止届出書、変更届出書及び申請書の受理番号については、次のとおり取り扱うものとする。
(1) 開始届出書の受理番号の付し方
開始届出書の受理番号については、先頭の3桁を受理した警察署コード(「警察庁情報管理システムの対象業務に使用する共通コード表の整理について」(平成16年2月26日付け警察庁丁情管発第96号)の「4 警察署別コード」参照)を付し、その次に4桁の県下の一連番号を付すものとし、原則として、当該受理番号を「基本受理番号」と称し、届出営業所の固有番号として探偵業届出台帳等の関係簿冊において営業所における探偵業が廃止されるまで管理するものとする。
(2) 廃止届出書、変更届出書及び申請書の受理番号の付し方
廃止届出書、変更届出書及び申請書の受理番号については、上記(1)の営業所ごとに付した基本受理番号の次に届出営業所ごとの一連番号を付すものとする。
第3 届出証明書の交付(訓令第4条関係)
1 開始届出書の受理時における留意事項
(1) 「営業所」とは、本店、支店、支社、事業所等の名称を問わず、営業上の主要な活動が行われる一定の場所をいう。
また、法は、探偵業者に対し、営業所ごとに、従業者の名簿の備付けを義務付けていることから、「営業所」は、規模の大小を問わず、所属している従業者に対する日常的な配置運用等の実質的な業務運営が行われている場所が想定されていると解される。
よって、営業の目的とする一部の行為が行われている場所であっても、その遂行が他の指示に従ってなされるにすぎない場合は、「営業所」ということができず、例えば、探偵業者の指示に従って、単に電話の取次ぎのみを行うような場所は、「営業所」といえない。
開始届出書の受理等において、「営業所」として活動に疑義があるときは、届出者から当該営業所における詳細な活動実態を確認するとともに、生活安全企画課と協議の上、営業所として該当するか否かを判断すること。
(2) 法第4条第1項第1号中「商号」とは、商人の営業上の名称をいう(会社については、会社法(平成17年法律第86号)第6条参照)。
(3) 法第4条第1項第1号中「住所」とは、届出人が法人の場合には「主たる事務所の所在地」をいい(民法第50条)、会社については「本店の所在地」をいう(会社法第4条)。
(4) 法第4条第1項第2号中「主たる営業所」は、原則として会社法上の本店と一致するが、届出者が他の営業をも併せて行っている場合等であって、探偵業に係る営業の中心となる営業所が会社法上の支店であるときは、「主たる営業所」が会社法上の本店と一致しないこともあり得ることに留意すること。
(5) 法第4条第1項第3号の「当該営業所において広告又は宣伝をする場合に使用する名称」とは、営業所において広告又は宣伝する場合に使用されている名称のうち、商号と異なるものをいい、探偵業者が、同一の営業所において複数の名称に広告又は宣伝している場合には、届け出ることが必要である。
したがって、届出書の提出があったときは、「当該営業所において広告又は宣伝をする場合に使用する名称」の有無について確実に確認するとともに、記載漏れ等が判明した場合は補正等させること。
なお、営業所に設置の電話番号と異なる番号の電話を使用している場合は、法に記載する旨の規定がないことから強制はできないものの、可能な限り当該電話番号を届出書の余白部等に記載するよう指導すること。
2 届出証明書の番号の付し方
届出証明書の番号については、先頭2桁を和歌山コード(「警察庁情報管理システムの対象業務に使用する共通コード表の整理について」(平成16年2月26日付け警察庁丁情管発第96号)の「2 都道府県等別コード」参照)を付し、その次の2桁を届出証明書を交付する西暦年の下2桁、その後に、4桁の県下一連番号を付すものとする。
また、開始届出書の受理に伴い交付した届出証明書の番号を、「開始届出証明書の番号」と称し、探偵業届出台帳等の関係簿冊において届出営業所における探偵業が廃止されるまで管理するものとする。
第4 (省略)
第5 欠格事由該当者に対する処分(訓令第6条関係)
届出証明書は、届出があったことを証明するにすぎず、届出者(探偵業者)が欠格事由に該当していないことを証明するものではない。したがって、届出者が欠格事由に該当することが判明した場合には、原則として、届出証明書の不交付処分を行わず、法第15条第2項に基づく営業廃止命令を行うこととなるので留意すること。
第6 廃止届出書(訓令第7条関係)
法第4条第2項中「当該探偵業」とは、当該届出に係る探偵業をいう。
したがって、会社は存続し、探偵業を継続するものの、届出をした営業所に係る探偵業を廃止したときは、廃止届出書を提出させることとなる。
なお、「探偵業を廃止したとき」とは、自ら進んで探偵業を廃止した場合のほか、法第15条第2項の規定による営業廃止命令を受けて廃止した場合が含まれる。
第7 変更届出書(訓令第8条関係)
1 変更届出書の提出があったときは、次の事項を調査すること。
(1) 変更事項と事実との相違の有無
(2) 変更事項が法人の代表者又は役員である場合は、法第3条第6号に規定する欠格事由該当の有無
2 届出事項のうち営業所の所在地の変更があった場合の届出については、次のとおり取り扱うこと。
(1) 都道府県の区域を異にして所在地を変更する場合
法が営業所ごとに都道府県公安委員会への届出を求めている趣旨にかんがみ、変更前の営業所が所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会に対しては廃止届出書を提出し、変更後の営業所が所在する都道府県の区域を管轄する公安委員会には開始届出書を提出させること。
(2) 県内において営業所の所在地を変更する場合
営業所として実質的に同一性が認められるとき(例:業務の内容と役員は同じで、従業者に若干の変更が生じたにすぎない場合等)には、変更届出書を提出させ、それ以外のときには、変更前の営業所について廃止届出書を、変更後の営業所について開始届出書を提出させること。
3 探偵業者が法人の場合、その役員に異動が生じたときは、当該法人が有する全ての営業所について、その所在地を管轄する公安委員会に変更届出書を提出させること。
4 府令第3条第2項中「10日以内」とは、廃止又は変更の日を算入せず、その翌日から起算して10日以内をいう(民法第140条)。
第8 変更届出に係る届出証明書の交付(訓令第9条関係)
届出証明書は、届出があったことを証明するものであることから、法第4条第1項各号に掲げる事項に関して変更の届出があった場合には、当該変更事項が届出証明書に記載する事項でなくても、新たな届出証明書を交付すること。
第9 名義貸しの禁止(法第5条関係)
法第5条は、届出をしていない者に名義を貸すことのみならず、届出をしている者に名義を貸すことをも禁じた規定である。
また、届出をした者が自らは探偵業を営まずに他人に名義を貸した場合に限らず、届出をした者が自己の名義で探偵業を営みつつ、他人に名義を貸した場合にも、本条違反が成立する。
第10 探偵業務の実施の原則(法第6条関係)
1 法第6条前段関係
(1) 「この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものでないことに留意する」とは、探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者が探偵業務を行うに当たり、この法律によって、特別の権限を与えられるものでなく、探偵業務であることを理由に正当な業務行為として違法性が阻却されるものではないことを注意的に規定したものである。
(2) 「他の法令において禁止されている行為」には、例えば、刑法上の犯罪行為(例:調査の対象者を見張るため、付近住民宅の敷地に許可なく入る行為等)、電気通信事業法違反の行為(例:調査の対象者の電話を盗聴する行為等)等が該当する。
(3) 「他の法令において制限されている行為」には、例えば、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)において制限されている行為(例:住民基本台帳を閲覧する行為等)、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)において制限されている行為(例:個人データを第三者に提供する行為等)等が該当する。
2 法第6条後段関係
(1) 法第6条後段(「人の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。」)に違反した場合には、指示等の処分の対象となる。
(2) 「個人の権利利益を侵害すること」には、刑事上の違法な行為のほか、民法上の不法行為に該当する行為が含まれる。
第11 書面の交付を受ける義務(法第7条関係)
1 法第7条は、依頼者に対してではなく、探偵業者に対して義務を課したものであり、違反した場合には、指示等の処分の対象となる。
2 「犯罪行為」とは、刑法に限られず、刑罰法令に違反する行為をいい、例えば、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(平成13年法律第31号)第10条第1項に基づく保護命令に違反する行為等が該当する。
「違法な差別的取扱い」とは、例えば、労働基準法において禁止されている労働条件の差別的取扱い等をいう。
「違法な行為」とは、刑事又は民事の別を問わず、違法と評価されるすべての行為をいう。
第12 重要事項の説明等(法第8条関係)
1 総説
(1) 法第8条第1項の規定により契約を締結しようとするときに依頼者に対して交付する書面(以下「契約前書面」という。)及び同条第2項の規定により依頼者に対して交付する契約の内容を明らかにする書面(以下「契約後書面」という。)は、それぞれ一の書面であることを要せず、契約書、調査の計画書、パンフレット等複数の書面によることで差し支えない。
(2) 依頼者と探偵業務を行う契約を締結した探偵業者が、他の探偵業者に当該探偵業務を委託する契約を締結する場合には、当該他の探偵業者は、当該探偵業務を行う契約を締結した探偵業者に対して、契約前書面及び契約後書面を交付する必要がある。
2 第1項関係
(1) 第4号関係
「法第10条に規定する事項」については、法第10条第1項に規定する守秘義務を負っていることのほか、同条第2項に規定する資料の不正又は不当な利用を防止するための措置のうち、法第8条第1項第9号の資料の処分に関する事項以外の事項を明らかにする必要がある。
(2) 第5号関係
「提供することができる探偵業務の内容」については、収集できる情報、実施できる調査方法、調査の体制(従事できる人数等)、調査を実施できる地域の範囲、依頼に係る調査に通常見込まれる時間、調査結果の報告の方法等を明らかにする必要がある。
(3) 第6号関係
「探偵業務の委託に関する事項」については、探偵業務を他の探偵業者に委託するか否か、委託する場合には、委託する探偵業者の基礎的事項(法第8条第1項第1号及び第2号)、委託する業務の内容、依頼者の氏名等を通知するか否かなどを明らかにする必要がある。
(4) 第7号関係
「金銭の概算額」とは、探偵業務の対価を含む契約に伴い依頼者が支払わなければならない一切の金銭の概算額をいい、一般的な料金体系等のほか、依頼に係る探偵業務にかかり得る最大限の総額、その算出の基礎となる個別の料金設定等を詳細に明らかにする必要がある。
(5) 第8号関係
「契約の解除に関する事項」には、契約の当事者が契約を解除することができる事由のほか、契約の解除の場合に発生する可能性のある違約金に関する事項が含まれる。
(6) 第9号関係
「探偵業務に関して作成し、又は取得した資料」とは、例えば、調査の過程で作成されたメモ、調査の報告書、調査の過程で記録した写真、ビデオテープ、録音テープ、調査の過程で入手した資料等をいう。
「処分に関する事項」とは、処分を行うか否か、行う場合にあっては、処分の時期、その方法等をいう。
3 第2項関係
(1) 第3号関係
「探偵業務に係る調査の内容、期間及び方法」については、調査の対象者、調査の目的とする情報の内容、調査の体制、調査を実施する地域の範囲、期間(いつからいつまでの何日間行うか、1日何時間程度行うかのほか、夜間、深夜、休日等、稼働時間帯により特別料金が設定される場合には、同時間帯における実施に関すること等)、調査方法、調査の過程で追加料金が必要となる業務が生じた場合における当該業務の実施の有無及びその内容等を具体的かつ詳細に記載することが必要である。
(2) 第4号関係
「調査の結果の報告の方法」とは、調査の過程で記録した写真、録音テープ等の取扱い(提示のみか又は提供するか)、調査の報告書の作成の要否(文書、メール又は口頭のいずれにより報告するか)等をいう。
「報告の期限」については、具体的な年月日のほか、「所在が判明したときは、直ちに報告する。」等と記載して差し支えない。
(3) 第6号関係
契約に係る探偵業務にかかる具体的な金額を確定しておくことが望ましいが、調査の結果や過程如何によって金額が変動し得ることが契約において留保されている場合(例:いわゆる成功報酬、実費費用請求等)には、当該契約に係る探偵業務にかかり得る最大限の総額、その算出の基礎となる個別の料金設定等を詳細に明らかにする必要がある。
第13 探偵業務の実施に関する規制(法第9条関係)
1 第1項関係
「探偵業者は、当該探偵業務に係る調査の結果が犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法行為のために用いられることを知ったとき」とは、その従業者の報告等を通じて知った場合も含まれる。また、調査の結果が違法な行為のために用いられることを確定的に認識した場合のほか、そのような可能性があることを認識し、そのように用いられても構わないと容認することも「知ったとき」に該当する。
例えば、「行方不明となった配偶者の所在」の調査依頼を受けた場合において、調査の過程で、依頼者が、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律第10条第1項に基づく保護命令を受けている可能性があることが判明したときには、保護命令違反のために用いられるものでないことが明らかにならない限り、探偵業務を行ってはならない。
2 第2項関係
法第9条第2項により禁止されるのは、「探偵業務」の全部又は一部を「探偵業者」以外の者に「委託」することである。
すなわち、例えば、探偵業者が聞込みを行う過程で第三者に単に情報提供を依頼すること、調査の過程で取得した写真の現像を第三者に依頼すること等は、「探偵業務」の委託ではないから、法第9条第2項の違反ではない。
また、探偵業務を委託すること自体は禁止されていないが、委託先は、「法第4条第1項の届出をして探偵業を営む者」に限られるので、個人の事業者を含め、無届で探偵業を営む者に探偵業務を委託することは、法第9条第2項違反となる。なお、臨時に雇用した者を含め、探偵業者の従業者に探偵業務を行わせることは、「委託」ではないから、法第9条第2項に違反するものではない。
第14 秘密の保持等(法第10条関係)
1 第1項関係
(1) 「探偵業者の業務」には、探偵業務のほか、同業務の遂行に必要な庶務、経理等の諸業務が含まれる。
(2) 「業務に従事する者」には、常用、臨時を問わず、探偵業者と雇用関係のある者のほか、業務に従事する役員、業務の一部を手伝う家族、第三者から派遣された者が庶務、経理等を行う場合における当該派遣社員等が該当する。
なお、個人の探偵業者も、「業務に従事する者」に含まれる。
(3) 「正当な理由」がある場合には、例えば、法令上通報・報告する義務を負う場合、訴訟手続上の証人として証言しなければならない場合、依頼者本人が承諾した場合等が該当する。
(4) 個人情報保護法第18条第1項においては、個人情報取扱事業者が、個人情報を取得した場合には、その利用目的を本人に通知し、又は公表することとされている。同項の適用が除外されるのは、あくまでも同条第4項各号に掲げる事由に該当する場合であり、法第10条第1項によって、探偵業者一般に個人情報保護法第18条第1項の適用が除外されるものではないことに留意する必要がある。
2 第2項関係
「不正又は不当な利用を防止するため必要な措置」については、例えば、資料(電磁的記録を含む。以下同じ。)の保管方法、資料を取り扱うことのできる者の範囲、資料の持ち出しの手続、資料を複写する場合の手続、廃棄方法、情報セキュリティの確保等の点において適正に管理されている必要がある。
また、その実効性を担保するため、必要な規程の整備や物的措置(例:鍵のかかる保管庫、セキュリティ措置が講じられているパソコン等)が講じられている必要がある。
第15 教育(法第11条関係)
「使用人その他の従業者」とは、探偵業者の下で業務に従事する者をいい、雇用関係を有するか否かを問わない。
「必要な教育」には、法や個人情報保護法を始めとする関係法令の知識、適正な探偵業務の実施方法、業務に関する資料及び情報の適正な取扱い方法等についての教育が含まれる。
探偵業者が、法第11条の規定に違反して「必要な教育」を行わず、従業者が不適正な探偵業務を行った場合には、指示等の処分の対象となる。
なお、法第11条の義務の履行を担保するため、教育計画書及び教育実施記録簿を作成するよう指導すること。
第16 名簿の備付け等(法第12条関係)
府令第5条第1項第3号の「従事させる探偵業務の内容」には、各従業者の行う業務の具体的内容について記載する必要がある。
第17 (省略)
第18 行政処分等(訓令第20条、第21条関係)
1 指示及び営業停止命令関係
(1) 指示及び営業停止命令の主体
指示は、探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者が法令違反をした場合において、探偵業の業務の適正な運営が害されるおそれがあると認められるときに行うことができるものである。
営業停止命令は、探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者が法令違反をした場合において、探偵業の業務の適正な運営が著しく害されるおそれがあると認められるとき、又は法第14条の規定による指示に違反したときに行うことができるものである。
探偵業に関する指導監督は、届出に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が一元的に行うのが効果的かつ効率的であるため、指示及び営業停止命令は、違反行為を行った探偵業者等に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が行うこととなるので留意すること。
(2) 関係都道府県への通報
指示又は営業停止命令は、違反行為を行った探偵業者等に係る営業所の所在地を管轄する公安委員会が行うことから、違反行為を行った探偵業者等に係る営業所の所在地が他の都道府県の区域に所在するときは、関係する警視庁又は道府県警察本部主管課に対し次の事項を通報するとともに、違反行為及び処分の情状を証明する関係書類を送付すること。
ア 当該探偵業者を特定する事項(当該探偵業者の届出証明書に記載されている事項)
イ 当該違反行為をした者に関する事項
ウ 当該違反行為が行われた年月日
エ 当該違反行為の内容
2 営業廃止命令関係
(1) 営業廃止命令の主体
営業廃止命令は、法第3条各号に規定された欠格事由のいずれかに該当する者が探偵業を営んでいるときに行うことができるものである。
欠格事由該当者については、速やかにこれを排除する必要があるため、欠格事由のいずれかに該当する者が探偵業を営んでいることを把握した場合には、管轄区域内にその者の営業所が所在しているか否かを問わず、営業廃止命令を行うこととなるので留意すること。
(2) 営業廃止命令の対象
営業廃止命令の対象は、探偵業の届出をしている者か届出をしていない者かを問わない。
(3) 営業廃止命令の効力
営業廃止命令を受けた者が公安委員会に探偵業者の届出をしていた者である場合には、同命令の効力は、その者が営む全ての営業所における探偵業に及ぶ。
したがって、営業廃止命令を受けた探偵業者については、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する公安委員会に対して、廃止の届出を行わせること。
(4) 関係都道府県への通知
営業廃止命令を受けた者が他の都道府県の区域内に営業所を有するときは、関係する警視庁又は道府県警察本部主管課に対し次の事項を通知すること。
ア 営業廃止命令を受けた者を特定する事項
(ア) その者が探偵業者の届出をしている場合は、当該探偵業者の届出証明書に記載されている事項
(イ) その者が探偵業者の届出をしていない場合は、その者に係る法第4条第1項各号に掲げる事項
イ 営業廃止命令の原因となった事実
ウ 営業廃止命令をした年月日
エ 営業廃止命令の内容
3 弁明の機会の付与
探偵業者に対して指示、営業停止命令又は営業廃止命令を行うときには、行政手続法第13条第1項第2号の規定に基づき、原則として、聴聞を行うことなく、弁明の機会の付与の手続きを行った後に、指示、営業停止命令又は営業廃止命令を行うこととなるので留意すること。
第19 関係書類の保存
1 開始届出書、廃止届出書、変更届出書、申請書及び府令第2条第3項、第3条第3項に規定された書類並びに欠格事由の該当の有無に関する調査結果を記載した書類等の関係書類は、営業所ごとに作成する探偵業届出台帳に編てつし、探偵業者の実態把握及び指導監督に活用すること。
なお、廃止に係る探偵業届出台帳については、その関係書類とともに廃止の日から5年間保存すること。
2 営業所の所在地が県内の他の警察署管内に変更したことを認知したときは、変更前の所在地を管轄する警察署長は、当該営業所の探偵業届出台帳及び関係書類を変更後の所在地を管轄する警察署長に引き継ぐこと。

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