暴力団排除等のための部外への情報提供の取扱いについて(例規)

(制定:平成26年3月19日 組対第32号)
和歌山県警察本部長から各所属長あて
暴力団情報については、法令の規定により警察において厳格に管理する責任を負っている一方、一定のは場合に部外へ提供することによって、暴力団による危害を防止し、その他社会から暴力団を排除するという暴力団対策の本来の目的のために活用することも当然必要である。
平成23年7月1日、和歌山県暴力団排除条例(平成23年和歌山県条例第23号。以下「条例」という。)が施行され、事業者が一定の場合に取引等の相手方が暴力団員・元暴力団員(暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者をいう。以下同じ。)に該当するかどうかを確認することが義務付けられるとともに、暴力団が資金獲得のために介入するおそれのある建設・証券等の業界を中心として、暴力団員に加え、元暴力団員等を各種取引から排除する仕組みが構築されている。一方、暴力団は、暴力団関係企業や暴力団と共生する者を通じて様々な経済取引に介入して資金の獲得を図るなど、その組織又はその活動の実態を多様化・不透明化させている。このような情勢を受けて、事業者からのこれらの者に関する情報提供についての要望が高まっており、条例においても事業者等に対し、必要な支援を行うことが責務として規定されているところである。
以上のような情勢の変化に的確に対応し、社会からの暴力団の排除を一層推進するため、本県警察においては、「暴力団排除等のための部外への情報提供について(例規)」(平成12年12月14日付け暴対第47号)に基づき暴力団情報の部外への提供を行っているところであるが、通達後の運用実態等を踏まえ、情報提供の在り方を一部見直すこととした。。
見直し後の暴力団情報の部外への提供については、下記のとおりとするので、その対応に遺漏のないようにされたい。
なお、「暴力団排除等のための部外への情報提供について(例規)」は、廃止する。
第1 基本的な考え方
1 組織としての対応の徹底
暴力団情報の提供については、個々の警察官が依頼を受けて個人的に対応するということがあってはならず、必ず、提供の是非について、刑事部組織犯罪対策課長(以下「組織犯罪対策課長」という。)又は警察署長の責任において組織的な判断を行うこと。
2 情報の正確性の確保
暴力団情報を提供するに当たっては、必要な補充調査を実施するなどして、当該情報の正確性を担保すること。
3 情報提供に係る責任の自覚
情報の内容及び情報提供の正当性について警察が立証する責任を負わなければならないとの認識を持つこと。
4 情報提供の正当性についての十分な検討
暴力団員等の個人情報の提供については、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)及び和歌山県個人情報保護条例(平成14年和歌山県条例第66号)の規定に従って行うこと。特に、相手方が行政機関以外の者である場合には、法令の規定に基づく場合のほかは、当該情報が暴力団排除等の公益目的の達成のために必要であり、かつ、警察からの情報提供によらなければ当該目的を達成することが困難な場合に行うこと。
5 資料等の提供の禁止
情報を提供する場合であっても、前科・前歴情報、顔写真その他暴力団関係資料の写しは、提供してはならない。
第2 積極的な情報提供の推進
1 暴力団犯罪の被害者の被害回復訴訟において組長等の使用者責任を追及する場合や暴力団事務所撤去訴訟等暴力団を実質的な相手方とする訴訟を支援する場合は、特に積極的な情報提供を行うこと。
2 債権管理回収業に関する特別措置法(平成10年法律第126号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)のように提供することができる情報の内容及びその手続が法令により定められている場合又は他の行政機関、地方公共団体その他の公共的機関との間で暴力団排除を目的として暴力団情報の提供に関する申合せ等が締結されている場合には、これによるものとする。暴力団排除を目的として組織された事業者団体その他これに準ずるものとの間で申合せ等が締結されている場合についても、同様とする。
なお、本県警察においてこの申合せ等を結ぶ場合には、事前に警察庁刑事局組織犯罪対策部企画分析課及び暴力団対策課と協議するものとする。
3 1又は2以外の場合には、条例上の義務履行の支援、暴力団に係る被害者対策、資金源対策の視点や社会経済の基本となるシステムに暴力団を介入させないという視点から、第3に示した基準に従いつつ、可能な範囲で積極的かつ適切な情報提供を行うものとする。
4 公共財団法人和歌山県暴力追放県民センター(以下「センター」という。)に対して相談があった場合にも、同様に第3に示した基準に従い判断した上で、必要な暴力団情報をセンターに提供し、センターが相談者に当該情報を告知することとする。
第3 情報提供の基準
暴力団情報については、警察は厳格に管理する責任を負っていることから、情報提供によって達成される公益の程度によって、情報提供の要件及び提供できる範囲・内容が異なってくる。
そこで、下記(1)から(3)までの観点から検討を行い、暴力団対策に資すると認められる場合は、暴力団情報を当該情報を必要とする者に提供すること。
1 提供の必要性
(1) 条例上の義務履行の支援に資する場合その他法令の規定に基づく場合
事業者が、取引等の相手方が暴力団員、元暴力団員でないことを確認するなど条例上の義務を履行するために必要と認められる場合には、その義務の履行に必要な範囲で情報を提供するものとする。
その他法令の規定に基づく場合についても、当該法令の定める要件に従って提供するものとする。
(2) 暴力団による犯罪、暴力的要求行為等による被害の防止又は回復に資する場合
情報提供を必要とする事案の具体的内容を検討し、被害が発生し、又は発生するおそれがある場合には、被害の防止又は回復のために必要な情報を提供するものとする。
(3) 暴力団の組織の維持又は拡大への打撃に資する場合
暴力団の組織としての会合等の開催、暴力団事務所の設置、加入の勧誘、名誉職への就任や栄典を受けること等による権威の獲得、政治・公務その他一定の公的領域への進出、資金獲得等暴力団の組織の維持又は拡大に係る活動に打撃を与えるために必要な場合その他暴力団排除活動を促進する必要性が高く暴力団の組織の維持又は拡大への打撃に資する場合には、必要な情報を提供するものとする。
2 適正な情報管理
情報提供は、その相手方が、提供に係る情報の悪用や目的外利用を防止するための仕組みを確立している場合、提供に係る情報を他の目的に利用しない旨の誓約書(別記様式第1号)を提出している場合その他情報を適正に管理することができると認められる場合に行うものとする。
3 提供する暴力団情報の範囲
(1) 1の(1)の場合
条例上の義務を履行するために必要な範囲で情報を提供するものとする。この場合において、まずは、情報提供の相手方に対し、契約の相手方等が条例に規定された規制対象者の属性のいずれかに該当する旨の情報を提供すれば足りるかを検討すること。
(2) 1の(2)及び(3)の場合
次のア、イ、ウの順に慎重な検討を行う。
ア 暴力団の活動の実態についての情報(個人情報以外の情報)の提供
暴力団の義理掛けが行われるおそれがあるという情報、暴力団が特定の場所を事務所としているという情報、傘下組織に係る団体の名称等、個人情報以外の情報の提供によって足りる場合には、これらの情報を提供する。
イ 暴力団員等該当性情報の提供
アによって公益を実現することができないかを検討した上で、次に、相談等に係る者の暴力団員等(暴力団員、暴力団準構成員、元暴力団員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係を有する者、総会屋及び社会運動等標ぼうゴロをいう。以下同じ。)への該当性に関する情報(以下「暴力団員等該当性情報」という。)を提供することを検討する。
ウ イ以外の個人情報の提供
イによって公益を実現することができないかを慎重に検討した上で。それでも公益実現のために必要であると認められる場合には、住所、生年月日、連絡先その他の暴力団員等該当性情報以外の個人情報を提供する。
なお、前科・前歴情報は、そのまま提供することなく、被害者等の安全確保のために特に必要があると認められる場合に限り、過去に犯した犯罪の態様等の情報を提供することとし、顔写真は交付してはならない。
第4 提供する暴力団情報の内容に係る注意点
1 情報の正確性の確保について
暴力団情報を提供するに当たっては、その内容の正確性が厳に求められることから、必ず組織犯罪対策課に設置された警察庁情報管理システムによる暴力団情報管理業務により暴力団情報の照会を行い、その結果及び必要な補充調査の結果に基づいて回答すること。
2 指定暴力団以外の暴力団について
指定暴力団以外の暴力団のうち、特に消長の激しい規模の小さな暴力団については、これが暴力団、すなわち「その団体の構成員が集団的に又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体」(暴力団員よる不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号)に該当することを明確に認定できる資料の存否につき確認すること。
3 暴力団準構成員及び元暴力団員等の場合の取扱い
(1) 暴力団準構成員
暴力団準構成員については、当該暴力団準構成員と暴力団との関係の態様及び程度について十分な検討を行い、現に暴力団又は暴力団員の一定の統制の下にあることなどを確認した上で、情報提供の可否を判断すること。
(2) 元暴力団員
現に自らの意思で反社会的団体である暴力団に所属している構成員の場合と異なり、元暴力団員については、暴力団との関係を断ち切って更正しようとしている者もいることから、過去に暴力団員であったことが法律上の欠格要件となっている場合や、現状が暴力団準構成員、共生者、暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者、総会屋及び社会運動等標ぼうゴロとみなすことができる場合は格別、過去には暴力団に所属していたという事実だけをもって情報提供をしないこと。
(3) 共生者
共生者については、暴力団への利益供与の実態、暴力団の利用実態等共生関係を示す具体的な内容を十分に確認した上で、具体的事案ごとに情報提供の可否を判断すること。
(4) 暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者
「暴力団員と社会的に非難されるべき関係」とは、例えば、暴力団員が関与している賭博等に参加している場合、暴力団が主催するゴルフコンペや誕生会、還暦祝い等の行事等に出席している場合等その態様が様々であることから、当該対象者と暴力団員とが関係を有するに至った原因、当該対象者が相手方を暴力団員であると知った時期やその後の対応、暴力団員との交際の内容の軽重等の事情に照らし、具体的事案ごとに情報提供の可否を判断する必要があり、暴力団員と交際しているといった事実だけをもって漫然と「暴力団員と社会的に非難されるべき関係にある者である」といった情報提供をしないこと。
(5) 総会屋及び社会運動等標ぼうゴロ
総会屋及び社会運動等標ぼうゴロについては、その活動の態様が様々であることから、漫然と「総会屋である」などと情報を提供しないこと。
情報提供が求められている個別の事案に応じて、その活動の態様について十分な検討を行い、現に活動が行われているか確認した上で情報を提供すること。
(6) 暴力団の支配下にある法人
暴力団の支配下にある法人については、その役員に暴力団員等がいることをもって漫然と「暴力団の支配下にある法人である」といった情報提供をするのではなく、役員等に占める暴力団員等の比率、当該法人の活動実態等についての十分な検討を行い、現に暴力団が当該法人を支配していると認められる場合に情報を提供すること。
第5 情報提供の方式
1 第3の1の(1)による情報提供を行うに当たっては、その相手方に対し、情報提供に係る対象者の住所、氏名、生年月日等が分かる身分確認資料及び取引関係を裏付ける資料等の提出を求めるとともに、提供に係る情報を他の目的に利用しない旨の誓約書の提出を求めること。
2 情報提供の相手方に守秘義務がある場合等、情報の適正な管理のために必要な仕組みが整備されていると認められるときには、情報提供を文書により行ってよい。これ以外の場合においては、口答による回答にとどめること。
3 情報提供は、原則として、当該情報を必要とする当事者に対して、当該相談等の性質に応じた範囲内で行うものとする。ただし、情報提供を受けるべき者の委任を受けた弁護士に提供する場合その他情報提供を受けるべき者本人に提供する場合と同視できる場合は、この限りでない。
第6 暴力団情報の提供に係る記録の整備等
1 情報提供に関する相談の措置
(1) 部外から情報提供に関する相談を受理した場合は、相談者、相談の内容・理由等を詳細に聴取すること。
(2) 暴力団対策を担当する係以外の者が相談を受理した場合は、警察本部にあっては組織犯罪対策課に、警察署にあっては暴力団対策係又は組織犯罪対策係に、聴取内容を確実に引き継ぐこと。
(3) 相談を受理、若しくは引継ぎを受けた組織犯罪対策課の課員又は警察署の暴力団対策係又は組織犯罪対策係の係員は、情報提供関係相談件名簿(別記様式第2号)及び情報提供関係相談受理(処理)簿(別記様式第3号)を作成し、速やかに所属長に報告すること。
(4) 報告を受けた所属長は、第3に掲げる情報提供の基準等に従い、情報提供の要件、提供する情報の範囲・内容を検討し、情報提供の適否について判断する。この場合において、警察署長は、警察署長が行う情報提供については、他の行政機関、地方公共団体その他の公共的機関による、法令等又は暴力団排除を目的とした暴力団情報の提供に関する申合せ等に基づく照会に対して、警察庁情報管理システムによる暴力団情報管理業務の暴力団情報に該当がないことから規制対象者の属性に該当しない旨を回答する場合に限り、暴力団対策担当課長又は同課長代理に専決させることもできる。
また、情報提供を行うことについて緊急かつ明確な必要が認められる場合においては、事後報告としても差し支えない。
(5) 警察署長は、情報提供に関し疑義がある場合は、組織犯罪対策課長と協議するものとする。
2 記録の整備
所属長は、情報を適正に管理するとともに、情報提供に関する相談の受理及び処理の状況を明らかにするため、情報提供関係相談件名簿及び情報提供関係相談受理(処理)簿を関係書類とともに編てつし、5年間保存しなければならない。
なお、部外からの暴力団情報に係る照会及びそれに対する警察の回答状況については、情報の適正な管理に万全を期するため、組織犯罪対策課において定期的に把握するものとする。

(別記様式省略)
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